フリーランスや個人事業主になった時、ネットで調べると必ずと言っていいほど「事業用の銀行口座とクレジットカードを作りましょう」と書かれています。
でも、新しく口座を開設したり、審査を受けてカードを作るのは正直面倒です。今ある個人の口座とカードではダメなのか。自分も最初はそう思っていました。
今年からはじめて青色申告に取り組んでいて、実際に記帳をやってみて分かったことがあります。結論を先に書きます。
結論:口座は絶対に分ける、カードは件数次第
現在の運用ルールはこうなっています。
- 銀行口座 … 絶対に事業用とプライベート用を分ける
- クレジットカード … 経費の支払い件数が少ないなら分けなくていい
法律上は、個人の口座やカードを事業と兼用しても何の問題もありません。罰則もありません。
ではなぜ口座は絶対に分けるべきなのか。兼用すると、毎月の記帳作業が地獄になるからです。
なぜ口座を分けないと地獄を見るのか
青色申告のために会計ソフトを使う場合、銀行口座を連携して自動で明細を取り込むのが基本になります。
もし、生活費も事業の売上も一緒になっているメインバンクを連携したらどうなるか。
デリバリーの報酬やコンテンツ販売の売上が振り込まれるのはいいとして、そこに以下のものが全部混ざります。
- スーパーでの食材の買い出し
- 家賃の引き落とし
- 友人との割り勘の振り込み
- ゲームの課金
事業とまったく関係ないプライベートな入出金まで、すべて会計ソフトに吸い上げられます。
そして、ソフトに取り込まれた以上、無視することはできません。「これはプライベートな支出です」という意味の事業主貸という勘定科目をつけて、1件1件処理しなければならないからです。
月に50件プライベートの引き落としがあれば、50件分の無駄な仕訳作業が発生します。 これを1年分やるのかと気づいた時は絶望しました。
口座を分ければ、仕訳は売上と経費だけになる
事業用の銀行口座を1つ用意し、会計ソフトにはそれだけを連携します。そして、デリバリー各社の報酬の振込先や、出張サービスの入金先をすべてその口座にまとめます。
すると、会計ソフトに取り込まれるのは事業の売上と、そこから支払った事業の経費だけになります。プライベートなノイズが一切入らないため、記帳の手間が10分の1以下になります。
屋号付きの専用口座を作る必要はありません
事業用口座というと、屋号のついた専用の口座をわざわざ作らなければいけない、と思うかもしれません。
実はそんなことはなく、自分名義の普通の個人口座でまったく問題ありません。
たとえば、片方をプライベート用、もう片方を事業用というように、自分の中で用途を明確に分けるだけで十分です。
もし使っていない銀行口座が手元にあるなら、今日からそれを事業専用にしてしまえば、新しく開設する必要すらありません。自分はネット銀行の口座を一つ、事業専用として割り当てました。
新規開設が必要な場合も、ネット銀行なら手続きはオンラインで完結します。屋号付き口座は、取引先に振込先を伝える機会が多い業種なら検討する価値がありますが、記帳を楽にするという目的だけなら不要です。
クレジットカードはどうすべきか
口座は分けるべきですが、カードについては事情が違います。事業用の支払いが月に何件あるかで判断してください。
経費の支払いが月に数件なら、私用カードのままでいい
配達用の備品や、仕事用のちょっとした消耗品を買う程度なら、私用のクレジットカードで大丈夫です。
会計ソフトにはカードを連携せず、何か買った時だけ事業主借という科目で手入力します。月に数件なら、手入力でも5分で終わります。
私用カードを使った経費の記帳方法については、私用のクレジットカードで事業の経費を払ったときの処理で詳しく書いています。
経費の支払いが月に何十件もあるなら、事業用を作る
サーバー代、仕入れ、ガソリン代、広告費など、事業の経費をカードで頻繁に払う場合は、事業用のクレジットカードを作って会計ソフトに連携すべきです。何十件も手入力するのは時間がもったいないからです。
その際、引き落とし先はもちろん事業用の銀行口座に設定します。
資金繰りが見えるようになる
口座を分けるメリットは、記帳がラクになることだけではありません。
配達アプリを2社使い、さらに出張サービスやコンテンツ販売など収入源が複数あると、今、事業として手元にいくら現金があるのかが分かりにくくなります。生活費と同じ口座だと、税金用に残しておくべきお金まで使ってしまいかねません。
口座を分けることで、この口座に入っているお金はすべて事業で稼いだお金だ、と一目でわかるようになります。
ここから来年の税金を払い、残った分を自分の生活費口座に移す。この移動も事業主貸になりますが、流れがはっきりすると、お金の管理に対する不安がかなり減ります。
まとめ
- 銀行口座は絶対に事業用とプライベート用を分ける
- 屋号付きの口座である必要はなく、普通の個人口座を事業用と決めればいい
- 分けないと、プライベートな買い物をすべて事業主貸で仕訳する作業が待っている
- クレジットカードは、経費の支払いが多いなら事業用を作る。少ないなら私用カードと手入力で十分
- 口座を分けると、複数収入があっても事業の資金繰りが見えるようになる
青色申告は、事前の仕組みづくりで大半が決まります。まだ口座を分けていない方は、次回の確定申告に向けて、まず口座を分けるところから始めてみてください。
なお、備品を買うタイミングそのものが経費額に影響するケースもあります。資産の扱いについては配達用の自転車は経費になる。ただし「いつ買ったか」で金額がまったく変わるで書いています。
この記事は個人事業主として実際に記帳した経験をもとに書いています。勘定科目の当てはめには複数の考え方があり、判断に迷う場合は所轄の税務署か税理士にご確認ください。税理士ではないため、個別の税務相談にはお答えできません。

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